心臓
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52 巻 , 3 号
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OpenHEART
HEART’s Selection
日本の新しい高血圧ガイドライン(世界との違い) 企画:平和伸仁(横浜市立大学附属市民総合医療センター 腎臓・高血圧内科)
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[臨床研究]
  • 馬渡 耕史, 常森 将史, 中野 治, 春田 弘昭, 池田 善彦, 松本 和久
    2020 年 52 巻 3 号 p. 289-298
    発行日: 2020/03/15
    公開日: 2021/04/23
    ジャーナル フリー

     成人における緻密化障害の一部は拡張型心筋症(dilated cardiomyopathy;DCM)として治療されていることが多い.今回DCMもしくは疑いとされた症例の中に緻密化障害が混在していないかの検討を行った.2009年9月~2017年4月に心エコー検査が施行され,DCMもしくは疑いと判断された50例中で緻密化障害疑いと診断された症例は10例(20%)で,年齢は45-92歳,6例が男性で,症状出現から診断までの時間は0.5-4.8年であった.左室拡張末期径は47.7-72.3 mmと拡大し,左室駆出率(EF)は20.4-46.2%で,緻密化障害部位は全例心尖部を中心に前壁~後壁~側壁に広がっていた.心電図は特異的な所見は認めなかった.β遮断薬およびアンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬の投与を行い,3割以上のEFの改善をみた例は3例(30%)であった.EFが58.3%と70.7%に改善した2例は,早期にBNP値が正常化した.治療観察中に脳梗塞発症2例,肺炎死1例,突然死1例,心不全死1例を認めた.心機能非改善の1例は治療後もEFは19.2%で,8年後にカテコラミン依存状態に陥ったため,Batista手術+乳頭筋接合術+僧帽弁輪形成術を行った.術中所見では心筋壁の二層構造は認めず,病理光顕所見では高度の線維脂肪化を伴う心筋細胞の脱落が認められ,心筋細胞の核は腫大し大小不同でDCMと考えられた.心不全の原因が緻密化障害であったと考えるのか,DCMの心機能低下の進展とともに緻密化障害様の所見が目立つようになったのかの検討のためには症例の蓄積が必要である.

[症例]
  • 福島 光基, 雨森 健太郎, 松本 雄二, 芦澤 直人
    原稿種別: 症例報告
    2020 年 52 巻 3 号 p. 299-304
    発行日: 2020/03/15
    公開日: 2021/04/23
    ジャーナル フリー

     症例は87歳女性.主訴は労作時呼吸困難,全身倦怠感であった.20XX−2年に慢性リンパ性白血病の診断となったが,自覚症状に乏しいため経過観察となっていた.20XX年7月に近医循環器科で心雑音を指摘され7月19日当科受診となった.閉塞性肥大型心筋症の診断で治療を開始したが,症状は増悪し血清Ca値が17.9 mg/dLまで上昇した.慢性リンパ性白血病の急性増悪と考え,ゾレドロン酸,カルシトニン製剤,ステロイドを投与し血清Ca値は12.9 mg/dLまで低下したが,28日に悪液質で死亡した.本症例は,慢性リンパ性白血病細胞から産生されたPTHrPによる腫瘍随伴体液性高カルシウム血症(HHM)と考えられ,劇的な経過中の心電図変化が記録できた.高度の高Ca血症では,一見,急性前壁中隔梗塞と見誤るQT(QoT,QaT)短縮によるST上昇,陰性T波,T波減高が認められ,特徴的所見と考えられたので文献的考察を加えて報告する.

Editorial Comment
[症例]
  • 寺田 悠紀子, 大槻 修司, 太田 龍哉, 岡部 竜太, 宮川 睦喜, 初野 弥奈, 渡 雄至, 横山 直之, 上妻 謙
    原稿種別: 症例報告
    2020 年 52 巻 3 号 p. 307-312
    発行日: 2020/03/15
    公開日: 2021/04/23
    ジャーナル フリー

     心腔内超音波ガイドでリードレスペースメーカ植込み術を行った3例を報告する.

     症例1:80歳,男性.大動脈弁置換術の患者で,心不全を伴う高度房室ブロックで入院となった.認知症があり,術後に創部を触る可能性が高いため,リードレスペースメーカ留置術を選択した.しかしながら慢性腎臓病があり造影剤が使用できないため,心腔内超音波ガイドでリードレスペースメーカ留置術を行い,造影剤を使用せずに留置術に成功した.

     症例2:79歳,女性.ふらつきを主訴に来院し,心房細動停止後に12秒の洞停止を認め,徐脈頻脈症候群と診断した.日常生活動作(ADL)が低く,かつペーシング率が低いと考えられリードレスペースメーカ植込み術の方針となった.慢性腎臓病があるため,造影剤を極力使用せずに心腔内超音波ガイドでリードレスペースメーカ留置術に成功した.

     症例3:86歳,男性.慢性心不全の急性増悪で入院加療中,意識消失を伴うモニター上4秒程の洞停止があり洞不全症候群の診断となった.高齢でADLが低いため,リードレスペースメーカ留置の方針となった.慢性腎臓病があり造影剤を使用せずに心腔内超音波ガイドでリードレスペースメーカ留置術に成功した.

     心嚢液貯留や心タンポナーデなどの合併症を起こさないためには造影剤による撮影で右室の解剖を把握する必要があるが,造影剤が使用できない場合は心腔内超音波装置を併用してリードレスペースメーカ留置を行うことが安全と思われる.

  • 石原 優, 外山 裕子, 宮井 翔平, 山田 桂嗣, 津島 翔, 宮崎 晋一郎, 寒川 睦子, 瀧波 裕之, 多田 典弘, 末澤 知聡, 松 ...
    原稿種別: 症例報告
    2020 年 52 巻 3 号 p. 313-319
    発行日: 2020/03/15
    公開日: 2021/04/23
    ジャーナル フリー

     症例1:90歳代女性.完全房室ブロックによる意識障害で入院した.入院時に施行した心エコーでは左室駆出率は60%で局所壁運動異常は認められなかった.一時的ペーシング後,リードレスペースメーカ植込みを行った.術後に肺うっ血が増悪し,植込み後2日目に施行した心エコーで心尖部無収縮を認めたことから,たこつぼ症候群が疑われた.保存的に加療し,心機能はほぼ正常に改善した.

     症例2:80歳代女性.完全房室ブロックによるうっ血性心不全で入院した.入院時に施行した心エコーでは,左室駆出率は60%で局所壁運動異常は認められなかった.一時的ペースメーカを留置し心不全加療を行ったのちに,リードレスペースメーカ植込みを施行した.術中はトラブルなく終了.植込み後2日目に肺水腫となり,呼吸状態が増悪した.心エコーで心尖部のバルーニングを認め,たこつぼ症候群様であった.植込み後9日目にセンシング不全が判明した.ペースメーカチェックでは,心不全発症に一致して,閾値,波高の悪化を認めた.心不全改善とともに閾値,波高は改善し安定した.その後,誤嚥性肺炎を契機に状態悪化し永眠した.

     2症例とも,冠動脈造影は未施行であるが,経過よりたこつぼ症候群が疑われた.たこつぼ症候群は,経静脈ペースメーカ植込みによる稀な合併症としてあげられているが,リードレスペースメーカ植込みを契機に発症した例はまだ報告がない.比較的低侵襲であると考えられていたリードレスペースメーカ植込みでも,手技による侵襲が身体的ストレスとなりたこつぼ症候群を発症する可能性があることに留意する必要がある.

Editorial Comment
[症例]
  • 小出 伸, 萱森 裕美, 柏村 健, 安藤 和弘, 長谷川 仁, 大久保 健志, 保屋野 真, 栁川 貴央, 小澤 拓也, 尾崎 和幸, 藤 ...
    原稿種別: 症例報告
    2020 年 52 巻 3 号 p. 321-326
    発行日: 2020/03/15
    公開日: 2021/04/23
    ジャーナル フリー

     症例は27歳女性.頭痛,嘔吐,意識障害のため入院し,pial arteriovenous fistulae(pial AVF;脳軟膜動静脈瘻)に伴うくも膜下出血が認められた.降圧薬使用下に経動脈的塞栓術を施行した後に肺水腫をきたし,利尿薬に加え人工呼吸管理を要した.神経原性肺水腫も考えられたが,心臓カテーテル検査を行うと心拍出量は熱希釈法で14.55 L/分,平均肺動脈楔入圧は17 mmHgであり,高心拍出性心不全と診断した.このとき,上大静脈ばかりでなく,下肢から下大静脈にかけても静脈血酸素飽和度が90%以上と高く,高心拍出はpial AVFによるシャント血流に加え,末梢血管拡張により全身で血流が増加しているためと考えられた.β遮断薬に続き,再度経動脈的塞栓術を行うことで心拍出量が正常化し,以後心不全の再発はみられなかった.pial AVFに起因した高心拍出性心不全の成人症例はこれまで報告がなく,病態についての考察を交えて報告する.

Editorial Comment
[症例]
  • 小松 稔典, 宮下 裕介, 大熊 ゆか里, 金井 将史, 清水 邦彦, 阿部 直之, 臼井 達也, 宮澤 泉, 戸塚 信之, 吉岡 二郎
    原稿種別: 症例報告
    2020 年 52 巻 3 号 p. 329-335
    発行日: 2020/03/15
    公開日: 2021/04/23
    ジャーナル フリー

     Kounis症候群とは胸痛とアレルギー反応が併発する“allergic angina”としてKounisらが報告し,アレルギーと急性冠症候群が同時発症する病態と定義されている.症例報告は散見されるが,広くは認知されていないため見過ごされている症例も多いと考えられている.症例は70歳,男性.主訴は胸部圧迫感.既往に関節リウマチ,ANCA関連腎炎,間質性肺炎があり,プレドニゾロン5 mg,ミゾリビン150 mgを内服していた.X日15時,労作時に胸部圧迫感があり18時に救急外来を独歩で受診.心電図は以前と比較して変化はなかったが,心筋トロポニンTの上昇を認めたため不安定狭心症を疑い入院とした.X+1日,CAGにてRCAに有意狭窄を認めたためPCIを施行.PCI中にバイタルの変化はないが全身に紅斑を認め,掻痒感を訴えたため造影剤アレルギーを疑いエピネフリン,メチルプレドニゾロン,d-クロルフェニラミンマレイン酸塩を静注し症状は改善した.しかし帰室30分後,胸痛を訴え心電図にてST上昇を認めたため,再度CAGを施行.Stent内に透亮像を認め,急性stent血栓症と判断し血栓吸引を施行したが改善は不十分でありstent in stentとしTIMI3を得た.造影するたびに冠攣縮を認め,ショックをきたしたためニコランジルを投与しつつIABPを挿入.X+2日にIABP抜去.以降の経過は問題なく,X+9日に独歩退院となった.Kounis症候群の症例報告は増えているが,その対応は確立されていない.本症例の対応について反省と文献的考察を踏まえて報告する.

Editorial Comment
[症例]
  • 草野 信義, 稲村 昇, 西 孝輔, 上嶋 和史, 髙田 のり, 丸谷 怜, 西野 貴子
    原稿種別: 症例報告
    2020 年 52 巻 3 号 p. 338-343
    発行日: 2020/03/15
    公開日: 2021/04/23
    ジャーナル フリー

     緒言:近年,肺動脈性肺高血圧の治療戦略として,多剤併用療法の有効性が報告されている.今回我々は周術期の管理においてセレキシパグを含む多剤併用療法が有効であった肺動脈性肺高血圧を伴う心房中隔欠損の成人例を経験した.

     症例:48歳,男性.労作時呼吸困難を主訴に受診し,心臓超音波検査で心房中隔欠損,肺高血圧と診断された.心臓カテーテル検査における一酸化窒素負荷試験で肺血管抵抗に大きな変化を認めなかったが心拍出量の上昇を認め,肺高血圧治療薬による根治術および術後内科的治療の適応と判断した.術前よりアンブリセンタンを開始し,1カ月後に心内修復術を施行した.術後肺動脈性肺高血圧に対してタダラフィル,アンブリセンタンの投与を開始した.しかし,顔面紅潮が出現し,アンブリセンタンを中止したところ,BNPの上昇と体血圧の低下を認めた.セレキシパグを開始,漸増したところ,BNPは低下傾向となり,体血圧は安定化した.その後の心臓カテーテル検査で,左室拡張末期容積の拡大と肺動脈圧の低下,心拍出量の改善を認めた.現在外来追跡中であるが,大きな副作用はなく,経過は良好である.

     結語:周術期における肺動脈性肺高血圧の管理は,多剤併用が望ましく,セレキシパグの併用も有効であると考えられる.

  • 住吉 啓伸, 吉岡 賢二, 三島 修治, 廣木 次郎, 竜 彰, 黒田 俊介, 岩塚 良太, 植島 大輔, 水上 暁, 林 達哉, 木村 茂 ...
    原稿種別: 症例報告
    2020 年 52 巻 3 号 p. 344-350
    発行日: 2020/03/15
    公開日: 2021/04/23
    ジャーナル フリー

     Paget-Schroetter症候群は特発性鎖骨下静脈血栓症および付随する静脈性胸郭出口症候群を特徴とした疾患である.当院で異なる治療方針を選択した2例のPaget-Schroetter症候群を経験した.2例ともに右鎖骨下静脈の血栓閉塞に伴う右上腕の浮腫および肺血栓塞栓症を認め,1例は患者の意思から直接経口抗凝固薬による保存加療を選択し,もう1例は右第一肋骨部分切除術,右鎖骨下静脈内血栓摘除術,右鎖骨下静脈形成術を施行した.両症例とも治療後経過は良好である.本疾患はワルファリンによる抗凝固療法では再発が多いことが報告されており,根治的な手術療法が第一選択と考えられるが,本保存加療例は抗凝固薬に直接経口抗凝固薬を用い,再発なく経過している.Paget-Schroetter症候群に対する直接経口抗凝固薬による保存加療に関する報告は乏しく,その有効性を今後検証してゆく必要があると考えられる.

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