心臓
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[臨床研究]
クライオバルーンおよびホットバルーンアブレーションの肺静脈の解剖学的差異による残存伝導部位の特徴
青柳 秀史斉藤 輝中村 浩章横山 泰廣
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2020 年 52 巻 9 号 p. 1022-1027

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抄録

 目的:肺静脈隔離(pulmonary vein isolation;PVI)を完成させるための追加高周波通電(touch-up ablation;TA)の有無において,肺静脈の解剖やクライオバルーン(cryoballoon;CB)とホットバルーン(hotballoon;HB)の違いが関連するか比較検討することである.

 方法:CBおよびHBを使用した発作性心房細動(paroxysmal atrial fibrillation;PAF)連続症例61例,23例を対象に検討した.

 カテーテルアブレーション(catheter ablation;CA)前に造影心臓CTを施行.冠状断および水平断における肺静脈の角度を矢状断を基準に計測した.肺静脈の角度は冠状断では頭側と尾側に,水平断では腹側と背側に計測された中央値をもとにグループ分けして検討した.TAは,CA後に左房-肺静脈間残存した伝導(LA-PV Gap)が認められる場合に行った.

 結果:CB使用患者において,左下肺静脈(LIPV)の頭側と右上肺静脈(RSPV)の尾側への偏位は,LA-PV Gapを有意に多く認めた(それぞれp=0.05,p=0.03).右下肺静脈(RIPV)は肺静脈の方向に関係なくLA-PV Gapを認め,他の肺静脈に比べて有意に多かった(p<0.01).一方HB使用患者において,RIPVは頭側に偏位するとLA-PV Gapが有意に多く認められた(p<0.01).RSPVは尾側かつ背側に偏位するとLA-PV Gapを有意に多く認めた(p<0.03).左上肺静脈(LSPV)は肺静脈の方向に関係なくLA-PV Gapを認め,他の肺静脈に比べて有意に多かった(p<0.05).

 結語:CBとHBでは,LA-PV Gapの生じやすい解剖学的な方向に差が認められた.CBにおいてはRIPVが,HBにおいてはLSPVが肺静脈の解剖学的な方向にかかわらずLA-PV Gapが生じやすいことが認められた.

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