2020 年 52 巻 9 号 p. 1030-1034
症例は23歳の女性.気分不快後に意識消失し,痙攣を認めた.救急隊接触時に心室細動(VF)を認め,電気的除細動に難治性で,来院後もVFを繰り返した.また著明なアシデミアに加え,低カリウム血症を含む電解質異常を認めた.冠動脈造影検査では冠動脈に有意狭窄は認めなかった.経皮的心肺補助法(PCPS)導入後は洞調律を維持できるようになり血行動態も安定した.その後カフェイン製剤を購入していたことが判明し,来院時の検体ではカフェイン血中濃度186.6 mg/L(カフェイン摂取量8 g相当)であり,カフェイン中毒の診断に至った.入院2日目に心室頻拍が出現したが,ランジオロール投与と血液透析を行い,以降は致死性不整脈が出現することなく経過した.一方で低酸素脳症のため,入院12日目に気管切開を行い,41日目に転院となった.VFの原因は多岐にわたるが,本例はカフェイン中毒によりVF stormに至っており教訓的であり今回報告した.