心臓
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[症例]
PAU(penetrating atherosclerotic ulcer)によると考えられた腹部仮性大動脈瘤の1例
鈴木 伸章田口 亮村田 賢祐服部 薫畠山 正治伊東 和雄楠美 智巳福井 康三
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2020 年 52 巻 9 号 p. 1044-1048

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抄録

 症例は70歳男性.高血圧で近医に通院中であった.1カ月前から腹部不快感があったが,急に腹痛が出現し,耐え難い激痛が2日間持続した.近医を受診し,内服薬で保存的に経過をみていたが,症状の改善がみられず,精査目的に当院の消化器内科へ紹介となった.CT検査,内視鏡検査などを施行したが,消化器内科的処置を要する異常は認めなかった.8日後のフォローCTで,PAU(penetrating atherosclerotic ulcer)の拡大と大動脈周囲の血腫の増大を認めたため,当科へ紹介となった.準緊急で腹部大動脈人工血管置換術を行った.術中所見ではCTでPAUが存在していた部位に2 cm大の大動脈壁全層の欠損部を認めた.PAUによる腹部仮性大動脈瘤は稀であるが,早期の診断と症例に応じた治療方針を検討することが重要である.

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