心臓
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[症例]
チアノーゼを伴う成人先天性心疾患に発症したパラガングリオーマの1例
森島 重弘依田 卓中澤 誠小野 隆志
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2021 年 53 巻 10 号 p. 1082-1090

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抄録

 症例は29歳の女性.三尖弁閉鎖症の診断でFontan手術を目指して姑息手術を行ったが,hemi Fontan術を最後にチアノーゼを有したまま経過観察されていた.24歳頃からストレスを感じる時に動悸と発汗を発作的に認める様になった.29歳時に動悸と発汗,嘔吐のため救急搬送された.偶然行われた腹部エコー検査で左副腎部に腫瘍性病変を認めた.経過中,発作性の高血圧と頻脈を認め,血中のカテコラミン濃度の上昇が確認され褐色細胞腫/パラガングリオーマと診断された.多発性腫瘍,遠隔転移の確認のため18F-fluorodeoxyglucoseを用いたpositron emission tomography and computed tomographic scansを行ったところ,カテコラミンで活性化された褐色脂肪との鑑別が必要であった.α遮断薬を充分に投与した後に摘出手術が行われ,発汗や高血圧発作が消失し,血中カテコラミン濃度の正常化を認めた.褐色細胞腫/パラガングリオーマの発症に低酸素誘導因子(HIF)の関連性が知られており,長時間にわたる低酸素状態でHIFが活性化される高地住人や,通常の酸素濃度下においてもHIFを活性化させる遺伝子異常が褐色細胞腫/パラガングリオーマ発症に関与しているとされている.慢性の低酸素状態であるチアノーゼ性心疾患は褐色細胞腫/パラガングリオーマの発症の危険因子とされ,チアノーゼ性心疾患に難治性高血圧や発作性の発汗や高血圧を認める時は,褐色細胞腫/パラガングリオーマの存在を念頭に画像診断や血中カテコラミン濃度の精査を考慮する必要があると考えられた.

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