2021 年 53 巻 11 号 p. 1185-1192
これまで心房細動の急性期心拍数調節薬として,ジギタリス製剤,Caチャネル遮断薬,β遮断薬が使用されてきた.最新の不整脈ガイドライン(2020年改訂版)では,心機能低下例では第1選択にβ遮断薬,第2選択にジゴキシンと記載されている.この点についてこれまでのガイドラインを概括し実際の使用法を検討した.
2004年の不整脈薬物治療ガイドラインでは,心機能低下例にジゴキシンの使用が推奨されているが,2009年改訂版でも同様である.心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)において,はじめて心不全例へのクラスⅠの扱いで,静脈内投与のβ遮断薬としてランジオロールが登場している.
ランジオロールとジゴキシンを比較したJ-Land Studyの結果では,治療開始2時間以内の心拍数抑制効果はランジオロールが勝っているとされているが,この研究でのプロトコールのジゴキシン投与量が,通常の臨床の現場と比べて少ないと感じる.
2017年の急性・慢性心不全診療ガイドラインでは両者ともⅡaの扱いとなり,2020年の不整脈薬物治療ガイドラインでもそれを踏襲している.ただ本文中でも治療指針の図でもジゴキシンは追加使用となっているが,血行動態への影響や外来での使用も考えて,症例毎に病態と薬理作用を考慮し適切に使用することが重要と考える.