2021 年 53 巻 11 号 p. 1213-1219
重症再生不良性貧血治療中に不安定狭心症を合併し,準緊急で冠動脈バイパス術を施行した症例を経験した.症例は79歳男性.胸痛を主訴に救急搬送され,精査にて左冠動脈主幹部病変を伴う不安定狭心症の診断で当科紹介となった.再生不良性貧血に対して当院血液内科で輸血管理されており,術前の血液検査で白血球数800/μL,血小板数1.1×104/μL,ヘモグロビン値8.2 g/dLと重症度分類でStage 4相当の高度の汎血球減少症を認めた.術前より血小板輸血および顆粒球コロニー刺激因子投与にて血球系を調整した上で人工心肺非使用冠動脈バイパス術を施行した.術後,抗血小板薬は血小板機能検査結果を参考に投与せず,出血性合併症なく経過した.再生不良性貧血を合併した心臓手術は稀であり,周術期の出血,感染管理に特に注意を要する.