心臓
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[症例]
MRI検査により早期の拡張型心筋症と考えられた遅発型極長鎖アシル-CoA脱水素酵素欠損症の兄妹例
小野田 幸男稲岡 一考竹内 真笹井 英雄深尾 敏幸藤木 亮次小原 収吉長 正博谷本 貴志
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2021 年 53 巻 2 号 p. 209-215

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抄録

 極長鎖アシル-CoA脱水素酵素(VLCAD)欠損症は脂肪酸β酸化異常をきたす先天代謝異常症であるが,成人期の予後に関しては不明な部分も多い.我々は,VLCAD欠損症の兄妹例を経験し,うち1例は,心臓MRI検査にて,遅延造影を認めない早期の拡張型心筋症と考えられる所見を得られた.

 症例1:4X歳,男性.主訴は全身筋硬直,労作時呼吸困難.既往歴は13歳時に,プールにて全身筋硬直が出現.その後も同様の症状が続き,精査されたが原因不明であった.4X-3歳時に妹(症例2)の診断が契機となりVLCAD欠損症と診断されていた.現病歴は4X歳時に労作時呼吸困難感が出現し,VLCAD欠損症による拡張型心筋症を除外するために心臓MRIを行った.結果は軽度の左室拡大,びまん性の収縮能の低下を認め,遅発型VLCAD欠損症による早期の拡張型心筋症と考えた.

 症例2:3X歳,女性,主訴は全身筋硬直,筋痛.現病歴は6歳時に,プールにて全身筋硬直が出現したが安静で軽快.その後,飢餓などで同様の症状を認めるも安静で軽快していた.3X-5歳時に,VLCAD欠損症と診断された.現在,心合併症は認めていない.

 成人期において,心臓MRIで軽度の左室拡大と収縮能低下を認め,遅延造影も陰性であり,他の高血圧性疾患などもなく,遅発型VLCAD欠損症例による拡張型心筋症と考えられた症例は,これまで報告されていない.新生児マススクリーニングの普及に伴い,無症状や軽微な症状の遅発型VLCAD欠損症例の発見も増加してくると思われるが,成人期における拡張型心筋症併発の可能性も念頭に入れておくことが重要である.また原因不明の心筋症をみつけた場合,VLCAD欠損症を鑑別しておく必要がある.

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