心臓
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[臨床研究]
肺血栓塞栓症(Pulmonary Thromboembolism:PE)の予知予測にはD-dimer(DD)とThrombin-antithrombin complex(TAT)の併用が有用である
─血液サンプリングによる肺血栓塞栓症の予知─
小林 洋一古田 康之二瓶 友美徳田 幸子松井 泰樹越智 明憲猪口 孝一郎新家 俊郎内田 英二
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2021 年 53 巻 5 号 p. 449-457

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抄録

 背景:Dダイマー(DD)は肺血栓塞栓症(PE)の予測に用いるが,感度は高いが特異度は低い.他の凝固線溶マーカーの検討はほとんどない.

 目的:PEに対して,DDに加えて,凝固マーカーであるThrombin-antithrombin complex(TAT)およびProthrombin fragment 1+2(F1+2),線溶マーカーとしてAlpha2-plasmin inhibitor-plasmin complex(PIC),内皮機能マーカーとして可溶性Thrombomodulin(sTM)およびPlasminogen activator inhibitor-1(PAI-1),血流うっ滞のマーカーとしてBNPを測定しPEとの関係を検討した.

 対象と方法:対象はPEで入院した77人の患者(P群),および循環器内科を受診し,上記のマーカーを測定できた724人の患者(C群)である.

 結果:DD,TAT,F1+2,PIC,PAI-1は,C群よりP群で有意に高かった.ただし,sTMには有意差を認めなかった.単変量ロジスティック回帰分析でも,DD,TAT,F1+2,PIC,PAI-1が有意で,ROC曲線から得られたカットオフ値は,おのおの2.07 μg/mL,3.7 ng/mL,301 pmol/L,1.2 μg/mLおよび26.0 ng/mLであった.多変量ロジスティック回帰分析では,DDとTATが有意であり,組み合わせのカットオフ値はDD 2.3 μg/mLとTAT 4.9 ng/mLであった.この時の感度は100%,特異度は97%であった.

 結論:DDとTATの組み合わせはPE予測に役立つ.

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