心臓
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[症例]
治療抵抗性高血圧症として加療中に,Mid-aortic syndromeによる脈管性高血圧症の診断に至った1例
平井 俊浩小川 裕二秋田 滉一中川 敬太柴山 佳一郎浅野目 晃鈴木 孝英八巻 多貴田岡 享酒井 博司佐藤 伸之長谷部 直幸
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2021 年 53 巻 5 号 p. 460-466

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抄録

 症例は78歳女性.72歳時に近医にてParkinson病,高血圧症の診断となり加療が開始された.74歳時に治療抵抗性高血圧症として紹介となり,降圧薬を複数内服するも十分な降圧が得られないまま経過していた.78歳時,一過性脳虚血発作を契機に,全身の動脈硬化の再評価を行った.Ankle brachial pressure index(以下ABI)右0.59,左0.57と両側で低下を認め,背部・心窩部の聴診にて著明な収縮期雑音を聴取した.造影CTでは下肢動脈の開存は保たれていたが,胸腹部大動脈移行部に狭窄を認め,下肢血流低下および血管雑音の原因と考えられた.また,両側内胸動脈から両側大腿動脈への側副血行路も確認された.大動脈造影では同部位に実測74.7%の狭窄を認め,Mid-aortic syndromeの診断となった.同時圧測定では近位側218/52 mmHg,遠位側146/51 mmHgと,収縮期血圧で72 mmHgの圧較差を認めた.冠動脈造影では3枝ともに有意狭窄を認めた.脈管性高血圧は狭窄部自体への介入,および合併する動脈硬化性疾患(狭心症,心筋梗塞,脳梗塞,脳出血),心不全等の管理が予後改善に繋がるため,その診断が重要である.本症例は高齢であることから,大動脈狭窄自体に対する侵襲的加療は行わず,合併した虚血性心疾患に対し血行再建を行い,内服で可能な限りの降圧療法を継続する方針とした.

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