心臓
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[症例]
院外心停止後,心筋石灰化をきたした若年の肥大型心筋症の1例
甲斐 貴彦岡 怜史星野 克臣渡邊 和徳中村 淳阿部 信安田 和世渡邊 明規
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2021 年 53 巻 6 号 p. 607-613

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抄録

 症例は21歳男性.心肥大は指摘されていたが自覚症状はなく,学生時代はバスケットボール部に在籍しており問題なく活動できていた.バスケットボールの試合後に卒倒し救急車要請され,11分後に救急隊到着し,初期波形心室細動にて心肺蘇生開始となった.救急外来にて大動脈バルーンパンピング(IABP)挿入,体外式膜型人工肺(V-A ECMO)確立し自己心拍再開した.経胸壁心エコー上,著明な左室壁肥厚(心尖部にて最大30 mm)を認めた.蘇生後脳症にて意識レベルはJCS30であったが,血行動態は安定し,第8病日にIABP,ECMOともに離脱した.第29病日のCT検査にて左房,左室の心内膜を中心にびまん性の石灰化を認め,左室駆出率(EF)の軽度低下,左室壁の菲薄化がみられた.第42病日のCTでは石灰化はさらに増強し,心筋中層まで拡大した.EFの低下(29%),左室壁の菲薄化(心尖部13 mm)はより顕著となり,BNP 1810 pg/mLと高値を認めた.第50病日頃より,低心拍出症候群を呈し,治療に反応せず,第69病日に永眠された.病理解剖にて心筋細胞の肥大ならびに錯綜配列を認め,肥大型心筋症と診断した.心内膜側を中心に心筋細胞の広範な脱落がみられ,斑状のカルシウム沈着を伴った石灰化がみられた.石灰化の中に島状に壊死した心筋細胞や,壊死心筋に対する肉芽組織の増生も認められた.心停止後に心筋石灰化を認め,心機能低下を生じる症例は非常に稀であり,今回文献的考察を含めて報告する.

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