2021 年 53 巻 8 号 p. 833-839
症例は67歳女性.前医で十二指腸異所性胃粘膜由来胃癌,粘液産生胆管癌,多発リンパ節転移と診断され,化学療法を施行されていたが,入院中に胸痛を認め,急性冠症候群の疑いで当院へ救急搬送となった.来院時,低酸素血症があり,心臓超音波検査では右心系の拡大,左室圧排所見,肺高血圧を認めた.急性肺血栓塞栓症を疑い造影CTを施行したが,肺動脈内に明らかな血栓は確認されず,肺換気血流シンチグラフィを施行したところ,両肺野末梢に散在する血流欠損像を認めた.入院第3病日にショック状態となり,急速な経過から臨床的に肺腫瘍源性塞栓性微小血管症(PTTM:pulmonary tumor thrombotic microangiopathy)と診断,同日永眠された.
担癌患者で肺高血圧を認めたときには,肺血栓塞栓症の他にPTTMを鑑別に挙げ,造影CTで血栓がない場合でも,肺換気血流シンチグラフィなど追加の検査を行う必要がある.