2021 年 53 巻 9 号 p. 955-962
症例1:45歳女性,突然の胸部痛を自覚し当院を受診した.心電図でST変化を認めたため急性冠症候群(ACS)と診断,冠動脈造影(CAG)を行ったところSeg4PDに99%狭窄を認め,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行した.
症例2:59歳女性,突然の胸部痛を自覚し近医を受診.ACSを疑われ当科へ転院搬送.心電図でST変化を,CAG上Seg7に99%狭窄を認め,PCIを施行した.
症例3:48歳女性,突然の胸部痛を自覚したが軽快し,翌日当科外来を受診した.心電図でST変化を認めACSの診断で準緊急的にCAGを施行.Seg4PD末梢に75%狭窄を認め内服による保存的加療を選択した.
いずれの症例も血管内超音波(IVUS)で動脈硬化所見を指摘できなかったが,冠動脈壁内血腫を認め特発性冠動脈解離と判断した.ACSの代表的原因として冠動脈プラークの破綻に伴う血栓形成が知られているが,比較的稀な原因として特発性冠動脈解離が挙げられる.特発性冠動脈解離はACSでCAGを行ったうちの0.1-1.1%とされ,女性に多いことが特徴である.また保存的加療で経過が良好であることや,再発が多いことも通常のACSと異なる特徴である.その診断にはIVUSなどのモダリティが必須と考えられる.
今回当院で特発性冠動脈解離によるACSの3症例を経験したので文献的考察を交え報告する.