心臓
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[症例]
非侵襲的低体温療法中に発症した難治性心室細動の1例
磯部 いの八金古 善明藍原 和史藤井 孝成谷内 亮太佐野 幸恵天内 士郎石橋 洋平長坂 崇司高間 典明小板橋 紀通石井 秀樹
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2023 年 55 巻 4 号 p. 431-436

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抄録

 症例は70歳代男性.急性心筋梗塞による心肺停止蘇生後で搬送され右冠動脈に緊急PCIを施行し,循環動態は安定した.目標体温34℃の非侵襲的低体温療法を行っていたところ,急に徐脈が進行し心室細動(ventricular fibrillation;VF)へ移行した.電気的除細動で抑制されず,V-A ECMO(veno-arterial extracorporeal membrane oxigenation)を挿入し,ステント内血栓症を疑って緊急で冠動脈カテーテル検査を行ったが有意狭窄は認めなかった.VFは電気的除細動,不整脈薬を投与しても停止しなかったが,膀胱温29.2℃であることが判明したため,31.2℃まで復温して電気的除細動を行ったところで停止し洞調律に復帰した.

 本症例は低体温療法中にVFを発症した稀な症例である.低体温時に広範囲の誘導でOsborn波が出現したことが特徴的だった.VFに対して抗不整脈薬は無効で電気的除細動にも易再発性であったが,復温がVFの抑制のために有効であった.

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