心臓
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[症例]
  • 鈴木 丈也, 新井 智之, 竹田 康佑, 山岡 広一郎, 稲垣 大, 吉田 精孝, 木村 高志, 高橋 正雄, 増田 怜, 北條 林太郎, ...
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 55 巻 4 号 p. 426-430
    発行日: 2023/04/15
    公開日: 2024/05/02
    ジャーナル フリー

     症例は73歳女性.無症候性重症大動脈弁狭窄症(AS)のために通院中であった.貧血の精査として上下部消化管内視鏡検査とカプセル内視鏡検査を施行したところ,十二指腸・空腸毛細血管拡張症の診断となりアルゴンプラズマ凝固療法を施行した.今回呼吸困難を主訴に救急搬送され,うっ血性心不全の診断で入院となった.重症のASを起因としたうっ血性心不全は,硝酸イソソルビドの持続静注とフロセミドの静注によって改善した.十二指腸・空腸毛細血管拡張症による貧血の増悪も併発しており,赤血球濃厚液を輸血した.

     ASおよび繰り返す重症貧血の経過からHeyde症候群が疑われ,von Willebrand因子(VWF)マルチマー解析を施行したところ,normal patternであった.ASに対する治療として経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)を施行した.TAVR後,貧血は改善しHeyde症候群に矛盾しない臨床経過であったが,Heyde症候群であってもnormal patternを示すことがある本症例に対して文献的考察を行った.

  • 磯部 いの八, 金古 善明, 藍原 和史, 藤井 孝成, 谷内 亮太, 佐野 幸恵, 天内 士郎, 石橋 洋平, 長坂 崇司, 高間 典明, ...
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 55 巻 4 号 p. 431-436
    発行日: 2023/04/15
    公開日: 2024/05/02
    ジャーナル フリー

     症例は70歳代男性.急性心筋梗塞による心肺停止蘇生後で搬送され右冠動脈に緊急PCIを施行し,循環動態は安定した.目標体温34℃の非侵襲的低体温療法を行っていたところ,急に徐脈が進行し心室細動(ventricular fibrillation;VF)へ移行した.電気的除細動で抑制されず,V-A ECMO(veno-arterial extracorporeal membrane oxigenation)を挿入し,ステント内血栓症を疑って緊急で冠動脈カテーテル検査を行ったが有意狭窄は認めなかった.VFは電気的除細動,不整脈薬を投与しても停止しなかったが,膀胱温29.2℃であることが判明したため,31.2℃まで復温して電気的除細動を行ったところで停止し洞調律に復帰した.

     本症例は低体温療法中にVFを発症した稀な症例である.低体温時に広範囲の誘導でOsborn波が出現したことが特徴的だった.VFに対して抗不整脈薬は無効で電気的除細動にも易再発性であったが,復温がVFの抑制のために有効であった.

  • 加藤 善之, 古賀 将史, 桒田 真吾, 御手洗 敬信, 奥山 和明, 出雲 昌樹, 石橋 祐記, 田邉 康宏, 原田 智雄, 明石 嘉浩
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 55 巻 4 号 p. 437-444
    発行日: 2023/04/15
    公開日: 2024/05/02
    ジャーナル フリー

     59歳女性.二次性高血圧の精査目的に約1年前に精査を行った既往がある.その際,原発性アルドステロン症と診断され,今後副腎静脈サンプリングが検討されていた.今回,突然の胸痛,嘔気を主訴に救急要請し来院した.来院時の心電図で前胸部誘導のST上昇を認め,緊急冠動脈造影を施行した.非特異的な造影所見であったが,後日施行した心臓CTで左前下行枝近位部に線状の解離を認め,特発性冠動脈解離と診断した.特発性冠動脈解離は線維筋性異形成の合併が多いことが知られており,全身のスクリーニングを施行した.頭部MRIにおいて右中大脳動脈および前交通動脈に脳動脈瘤を認めた.原発性アルドステロン症に特発性冠動脈解離,脳動脈瘤を合併した報告はこれまでになく,また特発性冠動脈解離の画像診断ならびに頭蓋内スクリーニングの重要性が示唆された.

Editorial Comment
[症例]
  • 吉田 千晃, 谷口 泰代, 高谷 具史, 川合 宏哉
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 55 巻 4 号 p. 446-451
    発行日: 2023/04/15
    公開日: 2024/05/02
    ジャーナル フリー

     症例は15歳男性.入院3日前にファイザー社製のCOVID-19 mRNAワクチン(BNT162b2)を接種した.同日から39℃の熱発が出現し,翌日から胸部圧迫感が持続するため,救急搬送となった.以前の検診で心電図異常(心室内伝導障害)の指摘はあるが,経過観察となっていた.心疾患の家族歴はない.来院時意識レベルは清明,バイタルサインは保たれ,心雑音は聴取されなかった.心エコー図検査では有意所見は認めなかったが,血液検査で心筋逸脱酵素の上昇を認めた.急性心筋炎の疑いで行った心臓MRI(CMR)検査では軽度のびまん性壁運動低下があり,T2強調画像で下壁に限局した高信号があり,同部位に心外膜側から心筋内に向かう遅延造影像がみられた.T1とT2マッピングでは側壁から下壁にかけて炎症を主とする心筋障害が示唆された.入院翌日には胸部圧迫感は改善し,第6病日に退院した.3カ月後のCMR検査では心筋障害を示唆する所見がほぼ消失していた.BNT162b2接種後心筋炎は稀な合併症で,接種後2日以内の若年男性に多く発症すると報告がある.軽微な心筋炎では壁運動低下がみられない症例も多く,症状と心電図変化や心筋逸脱酵素の上昇から診断することが多い.CMR検査は発症早期から炎症などの心筋障害を視覚的に診断できる有用な手段である.CMR検査で診断経過を追えたBNT162b2接種後心筋炎を経験したので報告する.

Editorial Comment
[症例]
  • 芳野 真子, 今井 靖, 根岸 経太, 大木 伸一, 川人 宏次, 苅尾 七臣
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 55 巻 4 号 p. 454-462
    発行日: 2023/04/15
    公開日: 2024/05/02
    ジャーナル フリー

     症例は49歳女性.44歳,48歳時に急性大動脈解離を発症し,保存的加療を受けていた.X年末より肺炎,心不全を呈し,当院での管理を希望され紹介受診となった.高身長,漏斗胸,側彎といった身体的特徴,大動脈解離,大動脈基部拡大があり,典型的なマルファン症候群と診断した.重度大動脈弁閉鎖不全症(AR)とそれによる心不全を呈していた.心不全の急性期管理を行ったのち,Bentall手術,上行大動脈弓部置換を施行,心機能は正常レベルまで回復し現在まで問題なく経過している.遺伝子診断ではFBN1変異を認め,マルファン症候群に典型的なCys残基のアミノ酸置換を伴うミスセンス変異であった.マルファン症候群でARに伴う高度収縮不全・心不全を生じても適切な外科治療と薬物療法を実施することで心機能の回復を得て良好な経過をたどった本例は示唆に富むと思われ,文献的考察とともに報告する.

Editorial Comment
[症例]
  • 手嶋 悠人, 肥後 早也香, 篠田 典宏, 原田 憲
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 55 巻 4 号 p. 466-471
    発行日: 2023/04/15
    公開日: 2024/05/02
    ジャーナル フリー

     急性心筋梗塞により心機能が低下した患者が心房細動(atrial fibrillation;AF)を発症すると,さらに心拍出量が低下することで心不全をきたし予後に重大な悪影響を及ぼすことがある.症例は74歳男性.来院時は洞調律であったが急性広範前壁心筋梗塞の血行再建後に持続性AFを合併した.アミオダロン投与や頻回のCardioversionも無効で,非侵襲的陽圧換気に加え大動脈内バルーンパンピング(intra-aortic balloon pumping;IABP)が必要な難治性非代償性心不全となった.高用量カテコラミンを併用しIABPは離脱できたが,今後の心不全コントロールにはカテーテルアブレーション(catheter ablation;CA)での洞調律化が必要と判断し,47日目に拡大肺静脈隔離術,後壁隔離術,三尖弁輪─下大静脈間峡部線状焼灼術を施行した.心係数は術前(AF)1.6→術後(洞調律)2.6 L/min/m2と著明に上昇し,高用量カテコラミンを離脱できたことでICU退室が可能となった.薬剤やCardioversion抵抗性のAFにより心不全コントロールがつかない場合には,CAでの洞調律化が治療の選択肢の1つになり得ると考えられる.

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