心臓
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症例 A型WPW症候群と完全右脚ブロック合併例
その電気生理学的およびベクトル心電図学的所見について
坂本 保己大久保 俊平佐竹 修太郎比江嶋 一昌川野 誠子鈴木 文男佐野 豊美
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1978 年 10 巻 3 号 p. 346-352

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抄録

心電図および頻拍発作歴よりA型WPW症候群と診断された患者で,電気生理学的検査によって左Kent束が存在し,頻拍発作時には房室結節-His束系を正伝導し心室から左Kent束を経て心房に入るreentryであることが認められた.頻拍時またはajmaline投与後の正常房室伝導にて心電図とベクトル心電図は完全右脚ブロックを示したが,その際QRS環終末部がA型WPW時のそれとまったく同一であったこと,また,His東電位から心室電位終了までの時間(ただしHはVに先行)がA型WPW時と変わらなかったことから,この完全右脚ブ獄ックはA型WPW症候群に合併していたものと診断された.この合併した完全右脚ブロックの診断に関しては,その特徴所見がWPW型心電図の時すでに最も明瞭に認められる空間速度心電図が有用と考えられた.また,ベクトル心電図では心電図よりもQRS群終末における右脚ブロック時の特徴をA型WPW時,すでに認めることが容易だったが,診断的でなかった.

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