抄録
今回,著者らはEbstein奇形の姉妹例を経験した.姉は,13歳ごろよりしばしぼ心不全を繰り返す.心電図はRVI低電位の完全右脚ブロック型を示し,胸部X線では,肺野が明るくEbstein奇形の特徴である箱様の大きな心陰影を示す.右房造影で下方へ偏位した三尖弁および巨大な右房・右室を認めた.18歳時自宅で急死.妹は姉同様の心電図異常,胸部X線で肺野の明るい心拡大を示す.右室造影で下方へ偏位した三尖弁を認め,心腔内心電図で右房化した右室を認める.
Ebstein奇形の家族内発生は,1866年Ebsteinがその奇形を初めて報告して以来,100年後の1966年,Ggeronらにより兄妹例が,1968年Doneganらにより家系内発生例が報告されている程度である.著者らの症例は姉妹例であり,まれな症例と考え報告した.