心臓
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臨床 大動脈弁上狭窄症-2手術治験例を含む6例の考察
赤坂 忠義伊藤 健二高口 直明大川 恭矩相馬 民太郎
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1978 年 10 巻 8 号 p. 815-821

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抄録

心臓カテーテル,心血管造影法により確認された6例の大動脈弁上狭窄症を経験し,うち2例に手術,治験を得た.8歳男児と6歳女児の2例で,いずれも軽度の知能発育遅延と特異な顔貌(Elfin face)を有した.術前検査では2例ともに限局性,砂時計型の狭窄で左室大動脈間に収縮期圧較差それぞれ144,80mmHgを認めた.手術は2例ともに,狭窄部縦切開後,無冠尖へ向け切開延長し,パッチ縫着により拡大を計ったものである.1例目は左冠動脈持続灌流で,2例目は心筋局所冷却法で心筋保護に対処した.術後検査で,狭窄解除は良好である.
他の4例は内科的に経過観察中であるが,狭窄部の形態は全例とも,限局性砂時計型で,V-AIndexは0.55以下を呈した.臨床症状として全例にElfin faceと知能発育遅延を認め,またヘルニアと歯の成長障害を6例中5例に認めている.幸いにも合併心奇形に重篤なものはみられていない.

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