抄録
動脈管が開存していることにより肺血流を保ち生存しうる一群のチアノーゼ型先天性心臓病の患児は,生後数日から数ヵ月以内に動脈管が自然閉鎖することにより,短絡手術を行わなければ死亡する.こういう症例に対してPGE1およびPGE2の動脈管拡張作用が有効であるとの報告が1972年にElliottらによりなされて以来,わが国でも臨床的に応用されている. しかしながらその症例のほとんどすべてが,生後3ヵ月以内の症例であり,それ以後の年齢の症例についてPGEユ,PGE2の効果はないといわれている.しかも最近3ヵ月以上の例にはむしろ逆効果であるとの報告もみられる.われわれは生後5ヵ月を過ぎて,心カテ後に無酸素発作を頻発しはじめたFallot 四微症(極型)の患児に対し,通常の量より少ない量でPGE1の効果を認めた症例を経験した.