心臓
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研究 Flavin adenine dinucleotide(FAD)の静脈内投与によりもたらされる胸内苦悶に対する対策
動物実験および臨床実験におけるFADの薬理学的作用からの検討
岸田 正昭古城 健太郎斎藤 輝男石川 正樹
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キーワード: 分時注入量, 胸内苦悶
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1979 年 11 巻 9 号 p. 909-914

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抄録
Flavin adenine dinucleotide(FAD) を静脈内に投与した際に時として出現する胸内苦悶は,FADの薬理学的作用のひとつであるcardiac contractile force(CCF) の減弱作用に基づく心拍出量の低下が関与していると考えられる.今回は胸内苦悶防止の立場から,まず動物実験においてFADを種々の注入条件下で静脈内に投与し, CCFの減弱作用を観察した.この結果, CCFの減弱の程度はFADの分時注入量と関係し,かつ分時注入量を0.6mg/kg/min.とすれぽ CCF の減弱は数%にとどまることが判明した.しかしヒトにおいては,分時注入量を0.15-020斑9/kg/min.としてもstroke index の低下は避けられず,胸内苦悶も5例中3例に出現した.しかし1回静注法では,これ以上分時注入量を減らすことは実際的ではない.したがってFADを安全に静脈内に投与するためには,点滴静注法が望ましいと考えられる.
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