心臓
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症例 再三にわたり心内膜電極離脱をきたした2症例の心臓動態的検討
心内膜電極固定困難症
進藤 剛毅水野 明古瀬 彰清水 進三枝 正裕布施 勝生三井 利夫
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1980 年 12 巻 10 号 p. 1146-1151

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抄録
あらゆるカテーテル操作にもかかわらず,再三にわたり心内膜電極離脱をきたした症例を経験した.これらの症例は,カテーテルループの適当なたわみがあり,カテーテル先端は右心室内で適当な位置にあるにもかかわらず,右心室にカテーテルを固定できにくかった症例で,心内膜電極固定困難症とも称すべきものである.本症例に,血行動態的,流体力学的分析を行った.2症例とも,心臓カテーテル検査,心臓血管撮影から,右心室の肉柱形成は充分あり,予想したような内腔の平担化は認められなかったが,他の心疾患を合併していることがわかった.第1例はFallot根治術後VSDが残存し,第2例は三尖弁閉鎖不全症が存在していた.いずれも右心室内で通常の血流に逆らう流れが存在し,これが固定を固難にしている原因と考えられた.これらの症例には,心筋電極またはネジ込式心内膜電極植込が適当と考える.
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