抄録
われわれは三尖弁閉鎖症の生後1カ月から8歳まで,Edward-Burchell分類IIb1例,Ib5例の計6例に手術治療を行った.保存的手術はWaterston手術2例,Glenn手術3例に行い,機能的根治手術はGlenn術後3年目の8歳男児および7歳女児の2例に行った.手術成績は保存的手術の2 例を失ったが他の4 例を救命し得た.
機能的根治手術の術式は2例ともダクロン代用血管による右心房・右心室バイパス術であり代用血管内および右心房内には代用弁は使用しなかった.心室中隔欠損および心房中隔欠損はともに直接縫合閉鎖した.
右房右室バイパス法は自己肺動脈弁を利用し,しかも代用弁を使わずにでぎる点,さらに肺動脈バイパスにくらべ右心室の大きさによりそれだけ充分大きなグラフトの使用が可能であり,手技もFontan法に比べ比較的容易であるという利点がある.