抄録
5歳の男児で肺動脈狭窄とnon-committed VSDを伴った両大血管右室起始症に対し,一期的にMustard手術とRastelli手術を行った.術前に二度の心血管造影を行ったが完全大血管転位症との鑑別が困難であった.手術所見では,ECDタイプのVSDを認め,欠損口の上前方への拡大は解剖学的に無理があり,心腔内トンネルを作製するには三尖弁を犠牲にするしかなく,また肺動脈狭窄の解除も冠状動脈の走行からパッチ拡大は不可能であると考え,Mustard手術とRastelli手術を行った.人工心肺離脱は4時間半にもかかわらず,比較的容易であったが術後2日目心不全で死亡した.死後剖検を行い詳細に検討した.