心臓
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研究 心筋梗塞を思わせる右胸部誘導Q波のアジマリンによる消失
菱田 仁金子 堅三勅使河原 敬明近藤 武大橋 進和田 正敏宮城 裕野村 雅則岡島 智志水野 康水野 嘉子横井 昭
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1981 年 13 巻 7 号 p. 781-789

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抄録
右胸部誘導にQ波があり陳旧性前壁中隔梗塞に似る心電図波形を有するが,心筋梗塞の既往やQ波を生じる他の基礎疾患のない8例中7例にアジマリン静注を行い,5例で右胸部誘導Q波の消失をみ,2例ではQ波の一時的自然消失も認めた. 別の1 例ではアジマリン静注前右胸部誘導Q波は自然消失した.アジマリン静注前のPRおよびQRS時間は正常であったこと,QRS初期に小さなデルタ波を認める例があったことから,非定型的早期興奮症候群によるQ波が想定され,Mahain束伝導が疑われたが,slow Kent bundle conduction も否定できなかった. Master 二階段試験でSTの水平型低下を生じていたが, アジマリンによるQ波消失後の同試験ではJ型ST低下に変化した例もあった.心筋梗塞例や正常心電図例にアジマリンを静注しても,アジマリンによる非特異的な心電図変化を生じたのみであった.心筋梗塞とまぎらわしい心電図波形を示す非定型的早期興奮症候群と思われる例があることを報告した.
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