心臓
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臨床 急性心筋梗塞における血清ミオグロビンの推移とその臨床的意義
本田 幸治片山 知之満岡 孝雄北野 幸英馬渡 一雄高原 晶大田 尚弘松尾 健治
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1981 年 13 巻 7 号 p. 836-842

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抄録
急性心筋梗塞31例(男23例,女8例,平均年齢63歳)の血清ミオグロビン(Mb)の推移とその臨床的意義について検討した.対象は発症後24時間内に入院したものに限り,貫壁性梗塞28例(前壁20例,下壁8例)非貫壁性梗塞3例であった.採血は4~6時間ごとに行い,72時間以後は12時間ごととした.Mb測定はRIA法で行い異常値出現率( 正常値<85ng/dl)は87%であったが, 発症12時間内に限ると100%であった.対照とした狭心症10例65検体は全例正常であった.最高値到達時間は発症後11±5.6時間でCPKの22±4.2時間に比して明らかに早期であった. Mb最高値は103~255 3ng/dlであり,これをKillipの分類に分け重症度との関連をみると,1群と2群の間に有意な相関が認められた.また急性期の経過中に,酵素の再上昇が明らかでない場合でも,Mbのみ明らかなピークを示す場合が対照例の約1/3にあり,Mbは他の酵素に比して,梗塞の進展や再発作の診断に有用な場合が少なくないと考えられた.
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© 公益財団法人 日本心臓財団
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