心臓
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研究 冠動脈造影所見よりみた心筋梗塞の予後について
小形 善樹西村 健司服部 隆一日浅 芳一郷治 光広高地 恭二加藤 達治野坂 秀行伊藤 幸義延吉 正清伴 敏彦
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1982 年 14 巻 5 号 p. 594-600

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抄録

昭和49年7月から54年9月15日までに冠動脈造影を施行した心筋梗塞症292例について予後を検討した.内訳は男性225例(平均57.6歳),女性67例(平均64.3歳)で,観察期間は発症より平均38.2ヵ月,冠動脈造影より平均21.2ヵ月である.内科治療群での死亡は23例にみられ,2枝,3枝疾患に多く,冠動脈造影より平均8.3ヵ月後に死亡し,急死17例,心不全死3例で,非心臓死は3例であった.死亡例の左室駆出率は平均0.38で,内科治療により良くcontrolされた群の0.49に比し有意に低下していた.冠動脈造影再施行を行った25例についてみると,進行例が17例と多かったが,全体での再梗塞例はわずかに5例であった.外科治療は56例(うちA-C bypass51例)に実施し,8例の死亡をみたが,両群を合わせて検討すると,0枝疾患87.5%,1枝疾患82.5%,2枝疾患76%,3枝疾患70.1%の例が有意義な日常生活を送りえている.

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