1982 年 14 巻 5 号 p. 625-632
Duchenne型筋ジストロフィー症23例(年齢8~17歳男)の心エコー図について,運動機能障害度および年齢を考慮して,心臓の解剖学的大きさと心機能を検討した.解剖学的大きさについては,進行例ではAoD,LAD.LVDd,LVmassは縮小しているものが多く,IVST:Dd比,PWT:Dd比はほとんど対照群が分布する範囲にあったことより,心筋の萎縮性変化が主であったが,一部に心室の拡張性肥大が認められた.心機能については,IVSE:Dd比,PWE:Dd比,mPWV,mDPWV,EF,mVcfについて検討したところ,いずれの指標も進行例で低下するものがあったが,EFが最も良い指標であると思われた.CIは相当末期までほぼ正常に保たれていた.また,検査後の臨床経過から,心室の拡張とEFの低下は心不全に移行する前徴と考えられる.