1982 年 14 巻 5 号 p. 615-624
安定した狭心症患者78例を対象に,isosorbide dinitrate(ISDN)徐放錠TY-0031(L,20mg1日2回投与)の抗狭心症作用,副作用,有用度を検討するため,従来のISDN普通錠(S,10mg1日3回投与)を基準薬として,多施設二重盲検3期交差比較試験を行った.この結果,薬効解析対象52例において,L→S→LのL群,S→L→SのS群ともに治療1期(2週目)で発作回数,nitroglycerin使用量の強い減少を認めたが,患者印象,全般改善度,有用性を含めたいずれの評価項目においても両薬剤間に5%水準で有意な薬効差を認めなかった.夜間狭心発作を有する患者の夜間の発作についてみれば,徐放錠TY-0031の方が通常のISDN錠よりも好ましいとの印象を得た.また,副作用として頭痛が約20%に見られたものの,両薬剤間に差は見られず,他にも重篤な副作用は認められなかった.以上からTY-0031は抗狭心症薬として臨床的に有用な薬剤であると判断された.