抄録
労作狭心症24例を陳旧性心筋梗塞のあるもの(E+OMI群7例),ないもの(E群9例),安静時発作を有するもの(E+R群8例),に分け,全例,無投薬時(C),ISDN 5mg舌下,nifedipine(Nf)10mg舌下,propranolol(ProP)20~30mg内服投与後にそれぞれtreadmill負荷試験を行い,胸痛発現時間により効果を比較した.E群では3剤の効果はほぼ同等であり,最大RPPはISDN,NfでCと同程度,Propでは減少した.E+OMI群ではISDN,Nfが有効でPropの効果は小さかった.最大RPPはCに比しISDNで増大,Nfで同程度,Propでは減少をみた.E+R群ではNf,ISDN,Propの順に有効で,Nf,ISDNでは最大RPPの増大を伴ったが,PropではCより減少した.E群,E+OMI群には多枝病変例,E+R群には1枝病変と冠攣縮例が多く,またE+OMI群には心拡大例,心機能低下例が多かった.抗狭心症薬の効果は病型により異なり,冠動脈病変,心筋梗塞の有無,心機能,冠攣縮の関与により左右されると結論された.