心臓
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臨床 Dibutyryl cyclic AMPの心不全治療への応用
松井 忍村上 暎二竹越 襄村上 英徳升谷 一宏辻 外幸茶谷 隆江本 二郎的場 宗敏
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1983 年 15 巻 2 号 p. 206-214

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抄録
心不全患者11例を対象にDibutyryl cyclic AMP(DBcAMP)0.025~0.2mg/kg/minを持続点滴で投与し,心血行動態変化を観察,その有用性を検討した.DBcAMP投与により心係数は2.24より3.14l/min/m2と有意に増加した.全末梢血管抵抗係数は3,171より1,880dyne.sec.cm-5.m2へ,平均血圧は92より84mmHgへと有意に低下した.肺動脈拡張末期圧は23より20mmHgへと軽度低下した.心拍数は91より99beats/minへと増加した.肺動脈拡張末期圧と左室心仕事量よりみた左室機能では11例中8例で改善が認められた.DBcAMPの効果を全末梢血管抵抗係数と心係数の関係を%変化でみてみると両者の関係は二次式で回帰され重相関係数は0.90であった.dose-response関係ではDBcAMPを増量するに従い上記の血行動態変化はより著明となった.以上よりDBcAMPは強力な抵抗血管拡張ならびに軽度の心筋収縮力増強作用により心拍出量を著明に増加させ,心不全治療に有用であると考えられた.
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