1984 年 16 巻 1 号 p. 59-64
動悸を主訴に来院し胸写にて左下肺に多発性肺嚢胞,気管支拡張症の所見を認め, 心電図にて心室性期外収縮の多発が認められた44歳の男性で心室性期外収縮の原因精査のため心臓カテーテル検査を実施し, 冠動脈造影に左回旋枝より左下肺に向かう異常走向の血管を認め, 気管支動脈造影にてその血管と気管支動脈との吻合の所見を確認し, 冠動脈-気管支動脈吻合症と診断した症例を経験した. この症例においては冠動脈から気管支動脈への steal現象により心筋の局所の虚血が生じ心室性期外収縮の発生の原因となっていると考えられた. 現在キニジンとβブロッカーにて経過観察中であるが, いずれは吻合枝の結紮術が必要であろうと考えられた.