心臓
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研究 左室および大動脈造影におけるdigital subtraction angiographyの有用性について
谷 正人半田 俊之介大西 祥平野間 重孝小島 昌治宮崎 利久桜井 謙治吉野 秀朗永田 雅良山崎 元毛利 誠桜田 潤二伊東 富雄
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1984 年 16 巻 12 号 p. 1231-1239

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抄録

近年従来の左室造影(c-LVG)に代わり,手技が簡便でより安全な経静脈的なDSAによる左室機能評価法が普及してきた.しかし経静脈法は多量の造影剤を要する反面,解像力が劣り,原理的にも弁膜疾患の逆流判定はできない.著者らは,少量の造影剤の直接注入で行うDSAによる左室造影(DSALVG),大動脈造影(DSA-AOG)を試み,従来の方法と比較した.DSA-LVGではc-LVGに比べ左室の収縮および拡張期の機能の低下は軽度であった.DSA-LVGで得られる左室容量,駆出率はc-LVGによる値と良く相関した.DSA-LVGまたはDSA-AOGによる僧帽弁閉鎖不全症や大動脈弁閉鎖不全症の弁口逆流重症度の評価はc-LVGまたは従来の大動脈造影による判定とよく一致した.以上から少量の造影剤を使用するDSA-LVGおよびDSA-AOGは,心機能や腎機能の低下した例でも安全に行うことができ,各種の負荷前後で繰り返し造影を行う際にも有用な方法と考えられた.

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