心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
研究 肥大型心筋症と拡張型心筋症の拡張期流入における心房収縮の関与について
戸枝 哲郎星野 由美子村田 実木村 道夫山添 優荒井 裕柴田 昭
著者情報
ジャーナル フリー

1984 年 16 巻 12 号 p. 1240-1246

詳細
抄録

心筋症の拡張期流入における心房収縮の関与(atrial contribution)を知るため,肥大型心筋症10例,拡張型心筋症10例,対照群10例において,右房・右室ペーシングを施行しながら大動脈圧波形を記録し,その後左室造影を行った.ペーシング中の駆出時間(ET)の変動から,(max ET-minET)/maxET×100(%)にて求めたatrial contributionと左室造影のarea-length法より求めたatrial contributionとの間に高い正の相関があった.対照群に比し,拡張型心筋症のatrial contributionは著明に大きく,左室拡張末期容積の増大とともに,一回拍出量を維持していると考えられた.一方,肥大型心筋症では拡張早期の流入障害を心房収縮によって代償するため,atrial contributionは大きくなっていると考えられた. 以上より, 心筋症のatrial contributionはどちらも大きく,これらの疾患が心房細動になった場合の血行動態の悪化はよく知られており,心房収縮が心拍出量の維持に大切であると考えられた.

著者関連情報
© 公益財団法人 日本心臓財団
前の記事 次の記事
feedback
Top