心臓
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臨床 異型狭心症を合併するWPW症候群の外科治療
川筋 道雄青山 剛和関 雅博飯田 茂穂大平 政人岩 喬
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1985 年 17 巻 12 号 p. 1243-1248

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抄録

異型狭心症とWPW症候群の合併は,(1)頻拍発作と狭心症発作の合併はさらに重篤な状態になること,(2)手術近接期に冠動脈スパズムを発生する危険があることが重要である.われわれは異型狭心症を合併するWPW症候群4例(右心型2例,左心型2例)の外科治療を行った.冠動脈造影では全例で右冠動脈スパズムが証明された.2例では異型狭心症発作の緩解後,頻拍発作が出現した.他の1例では頻拍発作中に異型狭心症発作が併発した.全例で副刺激伝導路切断術を行い,WPW症候群は治癒した.冠動脈高度器質狭窄の1例にA-Cバイパス術を同時施行した.この症例で,術直後冠動脈スパズムが発生した.他の3例では手術近接期にnitroglycerin+nifedipine併用療法を行い,冠動脈スパズムを防止した.nitroglycerin+nifedipine併用療法は冠動脈スパズムを防止し,かつ刺激伝導系を抑制しないために異型狭心症とWPW症候群の合併例の外科治療に有用である.

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