心臓
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臨床 WPW症候群における心房細動の臨床的検討
斉藤 裕三井 毅牛島 聡向井 恵一笠原 善郎吉田 政之飯田 茂穂大平 政人三崎 拓郎岩 喬
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1985 年 17 巻 6 号 p. 639-645

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抄録

WPW症候群150症例に対し副伝導路切断術を行った.うち心房細動を合併した症例は68例(45%)あり,この90%に回帰性頻拍を認めた.心房細動合併症は非合併例より重篤な症状を呈し,1例に心室細動を認めたほか,3例が手術待機中自宅で突然死している.器質的心疾患合併例,および高齢発症または回帰性頻拍経験の長いものが心房細動を合併しやすかった.しかし電気生理学的見地から心房細動合併を予測する因子は明確ではなかった.また手術時期が遅い程,術後心房細動が多く残存した.回帰性頻拍治療のために植え込まれたペースメーカーが,心房細動を誘発した3症例も経験した.
WPW症候群における心房細動発生には副伝導路が深く関与しており,一担発生した後は症状が増悪し,突然死することもある.今回の検討から心房細動合併症例では可及的早期に手術的根治をすべきである.

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