心臓
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研究会 第6回 心臓核医学研究会 イソプロテレノール負荷心プールシンチグラフィーによる虚血性心疾患の左心機能評価
鯵坂 隆一飯田 要松本 龍馬藤田 享宣飯田 啓治杉下 靖郎伊藤 巖武田 徹畠山 六郎外山 比南子秋貞 雅祥
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1986 年 18 巻 2 号 p. 225-230

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抄録
イソプロテレノール(ISP)負荷心プールシンチグラフィー(RI)の虚血性心疾患診断上の有用性につき,運動負荷RIと対比して検討し左.
対象は,冠動脈造影上,有意(≧75%)狭窄を認めた冠動脈疾患(CAD)10例,冠動脈に有意狭窄を認めない狭心症例(VA)9例(うち5例は冠攣縮性狭心症,4例はX症候群)および非定型的胸痛例(NC)7例の計26例であった.運動負荷は臥位エルゴメータを用い,ISP負荷はISPを漸増静注し,原則として自覚的最大負荷を行い, 負荷前後で心R I法により各種心機能指標を測定した.
結果:運動負荷においては,CAD例とVA例では左室拡張終期容量(EDV)は増加し,左室駆出分画(EF)は不変であったが,NC例ではEDVは不変であり,EFは増加した.一方,ISP負荷においては,CAD例では運動負荷と同様,EDVが増加し,EFは不変であったが,VA例はNC例と同様,EDVは不変で,左室収縮終期容量(ESV)は減少し,EFは増加した.局所壁運動異常はCAD例では両負荷とも同様に発現したが,VA例では運動負荷において一部の症例で発現したが,ISP負荷では全例,正常壁運動を呈した.
以上より,イソプロテレノール負荷心プールシンチグラフィーは,1)運動負荷の施行困難な虚血性心疾患の左心機能評価法として,2)冠攣縮の関与する虚血性心疾患の診断法の1つとして,臨床的に有用であると考えられた.
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