心臓
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臨床 急性解離性大動脈瘤DeBakey III型の内科治療の有用性の検討
雨宮 邦子平 敦子河合 裕子松村 研二木全 心一広沢 弘七郎橋本 明政
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1987 年 19 巻 10 号 p. 1200-1208

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抄録
急性解離性大動脈瘤DeBakeyIII型と診断された30例について,急性期,慢性期ともに降圧療法を施行し,その予後を分析した.さらに予後を改善する上での重要な点と,手術適応について検討を加えた.病院内死亡は3例(10%)であり,うち発症2週間以内の死亡は1例であった.遠隔期予後は,21例中死亡2例(9.5%)であった.全死亡例のうちの2例が破裂によるものであり,これらは2例とも降圧療法が不十分の例であった.DeBakeyIII型に関しては,十分な降圧療法を行うことにより,切迫破裂徴候や主要動脈阻血症状のない例では,外科治療は亜急性期以降でも,十分と考えられた.この他,嚢状動脈瘤,降圧療法が十分に施行できない例,経時的に大動脈径が拡大傾向にある例では,外科手術が必要と考えられた.降圧療法は,急性期のみならず慢性期にも重要である.慢性期の長期経過観察にはCTscanが最も有用であり,経過で偽腔が血栓化する例,逆に拡大する例もみられ,定期的にチェックすることが重要であると考えられた.
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