心臓
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症例 乳児期に発症したMarfan症候群の1例
岡 隆治土田 晃室野 晃一鈴木 直己森 善樹吉岡 一
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1987 年 19 巻 3 号 p. 323-328

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抄録
乳児期に発症したMarfan症候群の1男児例を経験したので報告する.症例は5カ月の男児で体重増加不良と喘鳴を主訴に入院した.身体的には,クモ状指を認め,漏斗胸腰椎の側轡も認めた.胸部X線上,両肺野は著明な気腫像を呈し,断層心エコー図にて,大動脈基部の著明な拡張を認め,心旗管造影にて大動脈および肺動脈基部の著明な拡張を確認した.患児は入院後,進行する呼吸困難のため人工換気療法を施行されたが,救命し得なかった.Marfan症候群では,症状を呈するのが小児期以後であることが多く,乳児期早期に発症し診断されることはまれである.また,気腫性病変を呈する報告も少ない.乳児期ではホモシスチン尿症など他疾患との鑑別が重要となるが,診断上,超音波学的検索が有用であった.乳児期に発症する症例は重篤な合併症を有することが多く,早期診断の重要性が考えられる1例として報告する.
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