心臓
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症例 Anomalous unilateral singlepulmonary vein (AUSPV)の1例
池田 洋今村 俊之原 耕平山本 邦男牟田 隆也園田 康男松永 圭一郎奥野 一裕岡 六四藤原 恒夫
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1987 年 19 巻 5 号 p. 581-585

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抄録

Anomalous unilateral single pulmonary vein(AUSPV)は,肺静脈奇形のうちでも極めてまれな疾患で,本邦2例を含めて8例の報告がみられるのみである.本症は発生学的,X線学的にも,肺静脈の拡張と蛇行のみで,限局性の拡張を伴わず,静脈瘤とは異なる疾患である.
症例は51歳主婦.感冒様症状にて当科受診.胸部X線正面像にて異常を指摘され,精査のため入院した.理学的には異常を認めなかった.胸部正面像ではCTR50%,左中肺野に拡張,蛇行する血管様陰影を認め,断層のトレースでは,不均一な濃淡を呈し,左肺門部へ向う太い棒状陰影を認めた.心カテーテル検査では,心内圧は正常で,短絡はなかった.選択的左肺動脈造影にて動脈相では,ほぼ正常の肺動脈およびその分枝が造影されて異常所見は認めなかったが,静脈相では正常な左上肺静脈は欠如し,正面像での血管様陰影に一致して,一本の拡張・蛇行した肺静脈が左房へ走行していた.大動脈相では,病巣部のdelayed emptyingが認められた.
AUSPVの9例目を報告するとともに,若干の文献的考察を加えた.

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