心臓
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臨床 心筋梗塞後のトレッドミル運動負荷試験により誘発される心室性期外収縮の検討
東 良久山門 徹増田 岳一西村 泰豪福井 淳中野 赳竹沢 英郎
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1987 年 19 巻 5 号 p. 576-580

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抄録

運動による心室性期外収縮(ExVPC)の臨床的意味を検討するため,トレッドミル運動負荷試験を施行した心筋梗塞215名(男194名,女21名)を対象として,ExVPCと運動負荷所見および観血的方法とを対比させ以下の結果を得た.
(1)ExVPCは215例中63例(29%)に認められ,運動中に比べ運動中止後に多く出現した.
(2)ST変化との関係はST低下群に24%,上昇群に34%,無変化群33%にExVPCを認め,ST変化による影響を受けなかった.
(3)冠動脈病変との関係は,冠動脈一枝病変で33%,多枝病変で26%にExVPCが出現したが,有意差は認められなかった.
(4)左室機能,左室局所壁運動との関係では,ExVPCは左室拡張末期圧20mmHg以上[41例中21例(51%)],および左室駆出率40%以下[36例中17例(47%)]の左心機能低下例に多く認められ,またaneurysm,dyskinesisの高度局所壁運動異常[66例中27例(41%)]では,none,reduced,normalの正常および軽度壁運動異常[149例中37例(25%)]に比べ有意に多く出現した.
以上,心筋梗塞例の運動による心室性期外収縮は,運動時のST変化や冠動脈病変に示される心筋虚血には直接的な関係は認められず,左室機能異常,左室局所壁運動異常に深く関係しているものと思われた.

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