心臓
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研究 Syndrome-Xにおける運動負荷時の左心機能の検討
特に左室収縮機能,拡張機能について
飯田 要鰺坂 隆一杉下 靖郎伊藤 巌武田 徹秋貞 雅祥松田 光生
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1987 年 19 巻 7 号 p. 805-812

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抄録
いわゆるSyndrome-X16例,1枝冠動脈病変を有する労作狭心症9例および対照13例に運動負荷試験を行い,心プールシンチグラフィーを用いて左室収縮機能ならびに拡張機能を評価した.さらにSyndrome-X9例にカルシウム拮抗薬であるnifedipineを舌下投与し,その効果を検討した.収縮.機能の指標として左室駆出分画,収縮期血圧/収縮終期容積を,拡張機能の指標として急速流入期最大充満速度を用いた.その結果,Syndrome-X群の左室収縮機能ならびに拡張機能は運動負荷時,対照群より明らかに低下していたが,狭心症群より良好であった.また局所壁運動異常を約40%に認めた.よってSyndrome-X群において心筋虚血による左室機能の低下が示唆された.またnifedipine投与により,Syndどome-xi群の左室機能の改善を認めた.本研究によりSyndrome-Xは冠動脈細小血管の異常により虚血をきたすとの仮説に矛盾しないが,他方約60%は運動負荷にて局所壁運動異常を伴わず他の病因も否定し得ないと考えられた.
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