心臓
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症例 緊急手術にて体外循環法を使用せず救命し得た急性肺動脈塞栓症の2手術例
倉田 直彦林 丘福山 守大井 勉磯島 明徳田窪 伸一郎池田 洋子能勢 義正植松 有門牧野 克俊角田 裕
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1987 年 19 巻 7 号 p. 888-893

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抄録
広範囲に発生した急性肺動脈塞栓症の2症例を経験し,緊急手術にて救命し得たので報告する.
症例1は,28歳の女性で,動悸,呼吸困難を訴え入院した.入院後2日目に突然,意識消失,心停止をきたしたが,心蘇生後,肺撫流シンチグラム,肺動脈造影検査を施行し,右A1+3および左主肺動脈起始部の完全閉塞を認め,救命を目的に内科的治療に固執することなく緊急手術を施行した.手術は,体外循環法を使用することなく左第5肋間にて開胸し左主肺動脈以下の塞栓除去術を行った.
症例2は,50歳の女性で,両下肢血栓性静脈炎を認める.最近,動悸,呼吸困難を訴えさらに咳漱が出現したため入院した.精査の結果,高度の肺高血圧および左主肺動脈起始部の完全閉塞を認めたため体外循環法を使用することなく緊急手術を施行した.手術は,症例1と同様に行い左主肺動脈以下の塞栓除去術を施行した.2症例とも再発予防の目的で,下大静脈縫縮術を施行したが,術後の経過は良好で,再発を認めず,現在日常生活に復帰している.
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