心臓
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臨床 多脾症候群の洞結節機能低下
門間 和夫高尾 篤良中沢 誠安藤 正彦柴田 利満笠貫 宏
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1988 年 20 巻 12 号 p. 1393-1402

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抄録
多脾症候群の50例について,経年的に(一人平均7年の経過)心電図450記録を調べた.全例に先天性心疾患または血管奇形が合併した.多脾症候群の診断は主に肺動脈造影所見,すなわち両側の肺動脈と気管支の関係が左肺型を示す所見によった.心電図記録の多い例では通常同一個体に複数の心房調律が認められた.最も多い調律は心房下部からの調律であった.全体の50%に上室性ペースメーカー機能の低下,すなわち,心房拍数の減少(徐脈化)が認められた.徐脈は40%では一過性,反復性であり,10%では永続性であり,40%では接合部調律が生じていた.徐脈例の頻度は年齢に進むにつれて増加し,その頻度は1歳以下で22%,15歳以上では65%であった.心房調律が複数ある症例では,単一の心房調律の場合より徐脈になる事がかえって多く,本症候群の複数の心房調律は不安定な複数のペースメーカーの存在を示していた.
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