抄録
軽症あるいは抗狭心症薬により良好なコントロールを得ている労作性狭心症14例を対象に,trapidil 300mg/日を4週間投与し,その前後で自転車エルゴメーターを用いた同一プロトコールの多段階漸増負荷試験を施行した.心拍数,心電図ST偏位はマイコンにて自動計測し,そのトレンドからST下降開始点を認識し,最大負荷時までのΔST/ΔHRを求めた.その結果,trapidil投与により,血圧,心拍反応に有意な変化は認められなかったが,ST下降は最大負荷時(0.17±0.08mV対0.13±0.07mV, p<0.05),負荷終了30秒後,1分後で有意な改善を認めた.またST下降開始時間,閾値心拍数は増加傾向,ΔST/ΔHRは減少傾向を示した.このことは心仕事量に対する心筋虚血の発生,進展の改善を意味し,trapidi1の抗狭心症薬としての有用性が示唆された.