心臓
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研究 Isosorbide dinitrateの末梢血管拡張作用の規定因子の検討
心不全例と非心不全例の比較
三輪 篤子塩田 隆弘上田 慶二五十嵐 聡明方 栄哲鈴木 康子藤森 尚子藤沢 明子坂井 誠桑島 巌
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1988 年 20 巻 5 号 p. 541-547

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抄録
Isosorbi dedinitrate(ISDN)の末梢血管拡張作用の規定因子につき,1群:心不全9例,II群:非心不全無処置群5例,III群:非心不全norepinephrine(NE)処置群7例を対象に検討した.前腕動脈内に,1,II群にはISDNO.01mg,0.05mg,0.1mg/分を濃度順に10分間持続注入し,III群ではNE(3μg/10分)を前腕動脈内に注入後ISDNO.Olmg/分を10分間注入した.各の前後でストレインゲージプレシスモグラフィーにより動脈血流量,静脈容量を計測し,血圧値より末梢血管抵抗を算出した.
I,II,III群共に薬剤投与前後にて血圧は不変であった.動脈血流量は1群にて最小用量のISDNにより著明な増加を示したが,II群では不変で,III群ではNE投与により有意に減少し,その後ISDN最小用量投与で有意に増加した.末構血管抵抗は1群ではISDN投与前にII群に比し有意な高値を示し,最小用量ISDNにて著明に低下したが,II群ではほぼ不変であった.III群ではNE投与で有意に増大し,ISDN最小用量にて有意に低下した.この1,III群での末梢血管抵抗の減少幅は,投与前抵抗値と正相関を示した.静脈容量は1群にて用量依存性に増加したが,II,III群では不変であった.
以上より心不全におけるISDNの動脈拡張作用が示されると同時に,心不全における末槍血管抵抗の増大がISDNによる動脈拡張作用の重要な規定因子の1つであることが示唆された.
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