心臓
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研究会 第9回 心臓核医学研究会 心電図同期SPECTによる心室絶対容積算出の検討および左室逆流性弁膜疾患の定量評価への応用
滝 淳一分校 久志谷口 充村守 朗利波 紀久久田 欣一
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1989 年 21 巻 1 号 p. 90-97

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抄録

心電図同期SPECTによる左右心室容積測定の基礎的ならびに臨床的検討を行い,さらに逆流性心疾患の定量的評価への応用を試みた.ファントム実験において心室輪郭決定のための最適カット値(C)を決定する要因を検討した結果,Cはバックグラウンド(BG)により変化し両者の間には,C=0.47BG+44(%),r=0.99(BGは再構成画像上の心室内最高カウントに対するBGカウントの%で表わした)の良好な相関を認めた.臨床例26例において上記式に基づいたカット値を用いてSPECTより求めた左室容積(Y)と左室造影による容積(X)はよく一致した(Y=0.96X十6.6(m'),r=0.98,n=51).左室逆流性疾患の定量評緬として右室側に逆流のない大動脈弁閉鎖不全または僧房弁閉鎖不全患者20例を対象として逆流率(RF)を求めた.逆流率は,RF=(LVSV-RVSV)/LVSVの式より求めた(LVSV=左室一回拍出量,RVSV=右室一回拍出量).非逆流群のRFは22±9.1%(n=20)に対して逆流群のそれは41±16%(n=22)であり,I~II度の逆流群のRFは33±14%(n=8),III度のRFは50±14%(n=7)といずれも対照群に比して有意に高値を示した(pく0.001).また,1~II,III度の間でも有意差を認めた(p<0.05).以上SPECTは心室容積算出,逆流の定量評価に有用な方法と結論された.

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