心臓
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研究会 第22回 河口湖心臓討論会 心筋疾患と免疫 拡張型心筋症および心筋・心膜炎におけるリンパ球動態
高本 哲郎古賀 義則戸嶋 裕徳横山 三男
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1989 年 21 巻 4 号 p. 498-508

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抄録
拡張型心筋症(DCM)および心膜・心筋炎における免疫機構の異常を解明する目的で,モノクローナル抗体を用いて,末棺血のリンパ球膜抗原動態の解析を行った.DCM患者のリンパ球サブセットでは,CD4/8比の上昇を認め,二重染色法による検討ではsuppressorT細胞が著明に減少しておりhelper/suppressor細胞比の上昇を認めた.リンパ球漕性化機構の検討では,ConA,PHAいずれの刺激に対してもDCM患者ではCD8陽性細胞膜上のIL-2receptorおよびHLA-DR抗原の出現率が低値を示した.また,DCM患者リンパ球を自己血清freeの条件下で培養すると,Tリンパ球サブセットは正常化する一方,健常人リンパ球をDCM患者血清とともに培養すると,CD4陽性細胞の増加を認めた.したがって,DCM患者ではsuppressorT細胞の数の減少および活性化機構の異常がみられ,血清中にはこれらのTリンパ球の異常を誘導する液性因子が存在するものと考えられた.
心膜・心筋炎回復期のリンパ球サブセットの検討では,心膜炎ではリンパ球サブセットの異常は認めなかった.一方,心筋炎では,特に心電図異常や左室壁運動異常を残した不完全治癒例において,CD4/8比の上昇およびB細胞,活性化リンパ球の増加が認められた.したがって,Tリンパ球の異常は心筋・心膜炎においてもその治癒過程を修飾する重要な因子と考えられた.
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