心臓
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症例 右室内異常筋束を伴った総肺静脈還流異常症(Ia)の1学童例
上田 義治原田 達生福重 淳一郎田崎 宏介大淵 典子深澤 満植田 浩司川内 義人徳永 皓一
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1989 年 21 巻 6 号 p. 708-712

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抄録
総肺静脈還流異常症は乳児期発症の先天性心疾患の2.5%を占め,生後1年未満の自然死亡率は80%以上であるとされている.しかしまれに年長児や成人にまで達する例もある.私たちは右室内に異常筋束を伴った総肺静脈還流異常症(Darlingla)の7歳男児例を経験した.症例は肺静脈閉塞や肺高血圧の合併がなく,大きな心房中隔欠損を介して十分な右左短絡があり,左室容量も正常であった.また右室内に認められた異常筋束(調節帯:moderator band)が右室容量の増加を制限していたことが推測された.これらの条件により本症例は運動時の息切れのみで経過していたものと考えられる.
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