抄録
家族性肥大型心筋症の家系中に心房中隔欠損症(ASD)と肥大型心筋症(HCM)を合併した兄弟およびその父親を経験した.6歳,7歳のASDの兄弟例に,術前より心電図上ASDとして非定型的な胸部誘導QRS pattern,ST-T変化を認めた.心電図,心エコー図,胸部X線写真,心血管造影の結果HCMが強く疑われた.家族に対する心電図,心エコー図,胸部X線写真により,父をはじめ家系内にHCMが存在し,父親にはASDも合併していた.なお兄弟に心内修復術を施行したが,術後の経過は順調である.最近ASDとHCMを合併した場合の手術適応についてはいくつかの報告があり,本症例ではその適応があるものと考え手術を行っている.今回我々は,手術適応について再検討すると共に,トレッドミル等を用いての経過観察について検討した.