抄録
漏斗部VSDの手術例210例について,VSDの形態と合併症の関係について調べた。漏斗部VSDはA型(肺動脈弁下),B型(漏斗部孤立),C型(漏斗部全欠損)に分けられ,A型は肺動脈弁との関係からさらにA-(1) 型(右肺動脈尖下),A-(2) 型(左右肺動脈尖下),A-(3) 型(左肺動脈尖下)の3亜型に分類された.A-(1)型VSDは漏斗部VSDの57%を占めており,大部分が大動脈弁のVSDへの逸脱あるいはバルサルバ洞の膨隆を伴っており,その30%に大動脈弁閉鎖不全およびバルサルバ洞動脈瘤破裂が合併した.A-(2) 型VSDはA-(1) 型とA-(3) 型の中間の臨床的特色を有しており,大動脈弁やバルサルバ洞の突出を示した症例と大動脈縮窄を伴う肺高血圧を合併した乳幼児列が半分ずっ見られた.A-(3)型VSDではほとんどの症例が大動脈縮窄と肺高血圧を伴う乳児例であった.B型VSDでは肺動脈弁に近い欠損ではA-(1)型と似ていて,大動脈弁の逸脱した症例が多かったが,三尖弁に近い室上稜下の欠損では右室漏斗部狭窄を伴うものが多かった.C型VSDは大部分が肺高血圧を伴う乳児例であったが,5歳の2例に大動脈弁の逸脱を認めた.